福岡市早良区曙の整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科

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膝や肩の整形外科疾患のワンポイント アドバイス

整形外科を受診される方の多くは、膝、肩、腰、首の痛み、腕や脚のしびれや痛みで来られます。膝や肩の代表的な疾患について 簡単なポイントをご説明したいと存じます。

  • 膝関節靭帯損傷
    中等度の内側側副靭帯(膝の内側の靭帯)や後十字靭帯損傷(脛の骨が後方へいかないようにする靭帯)は、装具を正しく着用すれば 改善がすることが多いです。問題は、前十字靭帯損傷(脛の骨が前方へいかないようにする靭帯)です。ジャンプの着地や急にストップした時に、膝に衝撃を感じ、血がたまれば要注意です。受傷から2週間以内に診断し装具をつければ、損傷の程度によっては、靭帯が改善することもありますが、多くは靭帯を作る手術が必要です。
  • 膝蓋骨不安定症
    若い女性で、関節が緩い人は、膝の屈伸や、スクワットで不安感や、痛みがでます。お皿の骨が少し外へ移動しやすいためにお皿の裏の軟骨を痛めます。装具で多くはよくなりますが、手術が必要な時もあります。
  • 変形性膝関節症
    中年以上で0脚の強い人が、立ち座りや歩き始めに、膝の内側に痛みがでてきます。内側の関節面の軟骨が擦り減ったための症状です。ふとももの筋肉をきたえることが進行の予防となります。痛みが強い場合は、関節内注射や靴敷きを作るとよいです。それでも痛みが強ければ0脚を矯正する手術や、人工関節を入れる手術があります。
  • 五十肩
    中年以上で、誘因なく肩の挙上が痛みのためできなくなり、レントゲンでも問題がない場合この病気が考えられます。レントゲンで石灰の沈着があれば激痛です(石灰沈着性腱板炎)。また外傷の後肩の挙上ができなければ、肩の筋肉が切れている可能性があります(腱板断裂)。五十肩は関節注射やリハビリで多くはよくなります。しかし腱板断裂は仕事の内容では、手術で切れた腱板を縫縮することも必要になります。
  • おとなの野球肩
    投球動作を繰り返すと、少しずつ痛みがでてくる場合があります。肩を挙上するための筋肉の上にある袋の炎症の可能性があります(肩峰下滑液包炎または腱板炎)。ある一球の投球動作で痛みがでて、以後続く場合は、関節の軟骨(関節唇)損傷が考えられます。治療は、安静と、十分な理学療法とストレッチで肩の周囲の筋力を改善させることです。3~6カ月続けても症状が続く場合は関節鏡での検査や手術が必要です。
  • 発育期のスポーツ障害
    骨が成長する部分(骨端線)にストレスがかかると痛みを伴います。膝(オスグッド病)肩(リトルリーグショルダー)踵(シーバー病)などがあります。根性で改善するものではありませんので、整形外科の担当医の指導を受けてください。

自費診療

  • PFC-FD療法
    手術をしないで膝の痛みを軽減します
  • エクオール
    女性ホルモンが減少する更年期を支えるのはエクオールです。
  • 巻き爪治療

自費診療の詳しい内容はこちら

漢方薬の使用

当院では症状等から必要に応じて漢方薬のご処方が可能となります。
西洋薬が体に合わない方も多くいらっしゃいますので、ご希望の方はご相談ください。

漢方薬の詳しい内容はこちら

五十肩(肩関節周囲炎)

【どんな病気か】
一般には四十肩、五十肩とか呼ばれていますが正式には肩関節周囲炎といって、関節周囲の組織の変化や炎症によって肩に痛みがでる病気です。肩関節の動きをつかさどる筋肉のうち大切な四つの筋肉(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)の腱を腱板といい、上腕骨の上の部分(結節部)につきます。この腱板の炎症や部分断裂、腱板の上の袋(肩峰下滑液包)の炎症や癒着が年齢とともにおこり、痛みと動きの制限を起こします。また上腕の力こぶをつくる上腕二頭筋の腱の炎症(上腕二頭筋長頭腱損傷)がおこることもあります。

【症状】
肩を動かすと痛く、腕を上げたり、背中にまわしたりする時に痛くなります。初期は痛みが強く夜間とくに朝方に強くなります。次第に動きに制限がでて肩が上がらなくなります。ただし腱板に石灰が沈着する石灰沈着性腱板炎の場合は、ある日急に何も誘因なく、肩に激痛がみられ、腕を動かせなくなることもあります。これはレントゲンで、石灰がはっきりわかります。また転倒して肩を打撲した後や、重たいものを持ち上げた時に急に肩に痛みが出現し腕を上げることができなくなった時は、腱板断裂の可能性がありますので、五十肩と思わずに医師の診断を受けたほうがよいと考えます。

【治療】
治療は原則として保存治療です。初期の痛みが強い時期は、消炎鎮痛剤の内服と、関節内へステロイド剤やヒアルロン酸ナトリウムの注射を行います。特に痛みが強い場合は肩甲上神経ブロックという注射で痛みを抑えることもあります。
動かした時の痛みは次第に軽くなりますが、肩の動きが悪くなります。この時期には、ホットパックや超短波などの温熱療法と肩の動く範囲を広くする運動療法が中心になります。家庭でできる運動には、入浴後、前かがみの姿勢でアイロンを持って腕を前後左右に振る運動もあります。肩の動きが非常に悪く、なかなか改善しない人には、小さくなった関節のふくろに麻酔剤を注入して、少しずつ広げるパンピング療法もあります。また関節鏡でつっぱっている靭帯を切除したりする手術もあります。しかし多くは根気強く治療と運動を行えば、手術までせずに改善する場合が多いです。

坐骨神経痛について

坐骨神経は腰から脚にかけて続く長い末梢神経です。この神経が刺激され、臀部から大腿後面からふくらはぎにかけて痛みがでてくるのが坐骨神経痛です。時には脚にしびれや、脚の感覚が鈍くなったり、筋力が落ちたりして歩きにくくなることもあります。その原因として多くみられるのは腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症で、レントゲンやMRIでしっかり調べてもらうことが大切です。治療は内服薬ばかりでなく、原因の多くが腰椎にあるので、腰椎を中心に物療治療として骨盤牽引、電気治療(干渉波、遠赤外線、マイクロ波など)を行います。痛みが強い場合は、局所注射や硬膜外ブロック、神経根ブロックを行う必要があります。それでも痛みが軽減しなければ、入院安静、原因によっては手術も必要になります。したがって脚の痛みやしびれがある場合は整形外科の担当医に診てもらうことが大切です。

ワンポイントチェック
代表的な疾患について自分でもすぐわかる特徴を簡単に述べたいと思います。

  • あおむけで脚をまっすぐ伸ばして踵を挙上していくと脚に痛みがひびく場合は椎間板ヘルニアの可能性があります。椎間板ヘルニアとは腰の骨の間のクッションの役目をしている椎間板が脚にいく神経の一部を刺激するように飛び出した状態をいいます。重たいものを持ったり腰をひねった時などに突然このような痛みが脚にでてきます。
  • 中年以上の方で、脚の痛みやしびれが背すじを伸ばして立っていたり、歩いていてひどくなり休んだり、座りたくなる場合は腰部脊柱管狭窄症の可能性があります。この休みたくなるまでの距離や時間が短くなる場合は症状が強いといえます。腰部脊柱管狭窄症は腰の骨の変形が強く、腰の骨の中の神経の束を圧迫するようになり、神経の循環障害を起こし脚に痛みやしびれが生じる疾患をいいます。
  • 脚に赤い水泡を伴う皮疹と痛みが強い場合、帯状疱疹の可能性があります。皮疹が出現すれば早く治療を開始しなければ神経痛が残る可能性があります。

変形性関節症

この病気は、年齢とともに、関節部分の軟骨、特に体重がかかる軟骨が擦り減っていき、体重がかからない部分の関節の骨が変形していく関節の老化による病気です。擦り減った軟骨を若い人のようなつるつるした軟骨にもどす方法はありません。したがってこの病気になる可能性がある人、例えば膝では0脚の強い人、股関節では小さい時に先天性股関節脱臼の治療を受けた人、肘では振動工具や力仕事をする人、関節にかかる骨折をおこし関節面に少し段差が残った人などは年齢と共に症状がでてくる可能性があるので注意が必要です。

【日常生活の注意】
①関節に無理な負担をかけない
②関節を冷やさない
③転ばない
の3つに注意が必要です。
①の点について、適度な散歩はよいのですが、少し痛みがあるのに、無理してジョギングや山登りなどするのはよくありません。痛みは関節の警報と考えたほうがよいとおもいます。同じ運動でも体重をかけないで、関節の安定に役立つ運動があります。膝では、あおむけで脚をのばして上げ下げ運動をしたり、横をむいて脚を上げ下げすれば股関節周囲の筋肉を鍛えることになります。②については、今まで症状のなかったひとでも、関節の軟骨はすでに変化が起こっていることもありますので、転倒すると急に痛みがでたり、関節に血がたまったりして症状がでることもあります。転ばないようにするために、杖をつくことはよいことだと考えます。関節への負担を少なくする点でもよいと思います。

【治療】
年齢とともに少しずつ進行していく病気ですので、一時的に消炎鎮痛剤や関節注射で痛みが消失しても、日常生活の注意は続けておいた方がよいとおもいます。症状がなくなっても定期的に医者にみせてレントゲンをとってもらうことも大切です。
痛みが続く場合は、手術によって、痛みを軽減させることができます。手術の内容については、次の項目で述べます。ただいえることは、症状や関節の変形の程度によって、手術の方法がかわります、手術によってどんな症状がよくなり、また残る可能性があるのかなど整形外科の担当医に十分に相談して決定すべきだと考えます。また、たとえ高齢であっても症状があるのならば、あきらめず医者に相談してください。

変形性股関節症

【どんな病気か】
股関節の軟骨が擦り減ったり、関節の形が変わっていく病気です。日本では、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全(股関節の屋根となる臼蓋のかぶりかたが浅い状態を言います)の治療でなおっていない人がおこすことが多く、その他に外傷や炎症、股関節の血行が悪くなった後でもおこります。

【症状】
症状は主に運動時の痛みです。この痛みの程度が股関節の変形の程度や、軟骨の擦り減りかたによって違ってきます。変形の進行の程度から、前股関節症、初期股関節症、進行期、末期の4期に分けられます。前股関節症は、臼蓋形成不全はありますが、軟骨は十分に残っている状態です。長く立っていたり、歩行時におもだるい感じや軽い痛みが股部にみられますが、休むと消えてしまう程度です。
初期股関節症では、関節の間の軟骨が少し擦り減って狭くなってきます。股関節の動きも少し悪くなり、痛みの程度も強くなってきますが、まだ休めば痛みはなくなります。進行期、末期になると、痛み、股関節の動きの制限は個人差はあるいますが、ひどくなってきます。長く立っていたり、歩いた後の痛みが休んでも続くようになります。進行期にはレントゲンでは、関節の間もいい方の関節に比べ半分ぐらいまで狭くなっています。末期では軟骨は消失して変形も顕著になってきます。したがって前股関節症の時期から年に1~2回は診察をうけ、この病気の進行状況を知っておくことが必要です。この進行状況で治療法も違ってきますので、整形外科の担当医に十分相談する必要があります。

【治療】
基本的には、股関節にかかる荷重を少なくすることです。したがって体重の減量、スポーツなどの制限が必要になります。また股関節周囲の筋肉強化も必要となります。歩く時に体が大きく左右に揺れる人には杖の使用を勧めます。しかし経過観察している間に痛みが強くなってくる場合は、手術を考えなければならなくなります。この時に大切なことは、患者さんの年齢、性別、職業、社会的環境などによって治療方針が違ってくる点です。
例えば働き盛りの男性で、重労働の仕事で片側の股関節が障害されている場合、関節の動きを止めてしまう関節固定術が、適応となります。50から60歳以上で股関節の変形が強く、重労働はしない場合は、人工関節が適応となります。40歳以下の若い人で、臼蓋形成不全があれば、股関節の大腿骨側の骨を切り曲げて安定させる手術か、股関節の屋根の部分の臼蓋に骨を移植したり、臼蓋自体を移動させて股関節のかぶりを大きくしたりする臼蓋形成術があります。どの手術を受けた場合でも、術後は日常生活に注意して股関節に負担がかからないようにする必要があります。

膝関節のしくみの特徴

膝関節は、大腿骨(ももの骨)脛骨、腓骨(すねの骨)、膝蓋骨(膝のお皿)の四つの骨からできています。骨どうしは靭帯(すじ)、半月板などの組織で安定性が得られています。
靭帯は、内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯の四本で膝が必要以上にずれないようにする役目があります。半月板は内側、外側に一つずつあり、クッションの役目をします。

変形性膝関節症

【どんな病気か】
中高年者の膝の痛みの原因で多いのが変形性膝関節症です。関節の軟骨が擦り減ったために痛みが起こります。この原因には、若い時に靭帯が切れたり、半月板にひびが入って二次的に起こることもあります。多くは原因がわからず年をとると起こります。男性よりも女性の方が多くかかります。O脚の人で膝の内側に体重がかかり、内側の軟骨が擦り減ってしまうタイプが多くみられます。

【症状】
最初のころは、動作の始め、特に正座や椅子から立ち上がる時、歩きだす時に痛みがでるのが特徴です。次第に階段の昇り降りや、平地歩行でも痛みがでてきます。そのうちに膝に水がたまって腫れてきます。
さらにひどくなると膝の曲げ伸ばしでギシギシ音がでてきたり、膝が曲がったまま伸びなくなってしまうこともあります。

【治療】
まず日常生活で注意することは、肥満の人は体重を減らすことと、膝の周りの筋肉をきたえることです。膝に痛みがあると膝をかばい、膝の周りの筋力がおちて、関節の安定性が悪くなり、さらに痛みも強くなるという悪循環を起こします。この悪循環を断つためには体重をかけないで膝の周りの筋力をつけることです。膝をのばしての脚の上げ下げを一度に80回、1日に3度繰り返すことが大切です。
O脚で膝の内側に痛みのある人は、体重が膝の外側にかかるようにした靴の中敷きを使うことも必要です。サポーターは一時的にはよいのですが、長く使用すると膝の周りの筋力がおちることがあるので注意が必要です。
痛みが強い時は、消炎鎮痛剤の内服や関節に注射することも有効です。関節注射にはステロイド剤とヒアルロン酸があり、初期の症状に有効です。ステロイド剤は何回も注射するとかえって膝を悪くすることがあるので注意が必要です。ヒアルロン酸は軟骨の表面を保護したり、滑りをよくしたりします。
このような治療を続けても痛みがとれない時は、手術が必要になります。手術には①下腿の骨を切ってO脚を矯正する手術、②人工の関節に置き換える手術があります。また最近は、関節鏡で関節の中をよく調べ、関節のごみ(はげおちた軟骨片など)を洗い流し、ひびが入った半月板を削って関節が滑らかに動くようにする大掛かりでない手術もあります。どの手術を行うかは、膝の変形の程度によってきまります。

変形性肘関節症

【どんな病気か】
肘関節に骨の棘などの変形が起こり動きが悪くなる病気です。骨折などによるものと、年齢、労働によるものに分けられます。肘は荷重関節ではないので症状がでにくい。

【症状】
肘関節の曲げ伸ばしに制限がみられ、痛みもみられます。変形が強くなると肘の内側にある尺骨神経を刺激して、手の指のシビレ感、触った感じが鈍くなったり握力が落ちたりします。

【治療】
手のシビレがなければ、消炎鎮痛剤を内服したり、肘に負担がかかる仕事をひかえる必要があります。シビレがあれば、尺骨神経を圧迫している部分を開放したり、肘関節の動きを制限している骨の棘を切除したりする手術が必要になります。肘の変形がひどい場合は人工関節にかえてしまう手術もあります。

変形性足関節症

【どんな病気か】
足関節に変形関節症を起こすのは股関節や膝関節に比べ、まれです。明らかな原因がわからずに起こることもありますが、靭帯損傷や足関節の骨折後の不安定や関節面の不整や関節の中の骨片などによってもおこります。

【症状】
足関節の運動時の痛みや、動きに制限がでてきます。レントゲンでは、関節の間が狭くなってきたり、骨の棘がみられます。ひどくなると関節の軟骨は消失してしまいます。

【治療】
初期段階ではサポーターを使用したり、関節を温めることは有効です。靭帯損傷による不安定が強い場合は、靭帯を作りなおす手術をします。関節の中に骨片がある場合は、関節鏡を使って摘出することもできます。軟骨が消失している場合は、関節を固定する手術によって痛みをとります。また人工の関節にかえる手術もあります。

なぜ関節に水がたまるのか?(関節水症)

正常の関節にも少量の水(関節液)が存在しますがせいぜい3ml程度です。関節液は関節の内側の滑膜の血管より分泌されたり吸収されたりします。関節に炎症が起こるとこの分泌と吸収のバランスがくずれて水がたまることになります。変形性関節症、外傷、化膿性関節炎、痛風、関節リウマチなどでみられます。原因は色々ありますので、十分調べてもらうことが大切です。
「水を抜くと癖になる」と言う患者さんがおられます。水を抜く意義は、次の3つが考えられます。

  1. 水がたまって関節の中の圧が高くなったのを、下げて膝の動きをよくする。
  2. 関節内の炎症を起こす化学物質やよごれを取り除く。
  3. 関節液を調べることで、菌や結晶など水がたまる原因をみつけることができます。しかし、ただ漫然と水を抜いてもらうのではなく、原因をしっかり調べてもらって治療をしてもらうことが大切です。